北海道

斜里岳

斜里岳(しゃりだけ)

画像:Wikipedia(CC BY-SA)

オホーツクの平野から1,547mを単独で立ち上げる火山。沢を遡って山頂に至る、本州ではまず出会えない百名山の一座。

オホーツクの平原に立つ独立峰

斜里岳は北海道東部、知床半島の付け根に位置する標高1,547mの円錐形火山である。オホーツク海沿岸の広大な農地と原野のなかに単独でそそり立ち、晴れた日には網走から知床まで、海岸線のどこからでも山影を視認できる。地形図で見ると、北の知床連山、西の阿寒・大雪山系、東の根釧台地のいずれからも独立した位置にあり、「振り返れば必ず見える山」として地元の風景を支配している。日本百名山に名を連ね、深田久弥が「東北海道に咲き出た一つの花」と表した一座でもある。

斜里岳アクセスと清里町清岳荘

斜里岳の登山口は南西側、清里町の清岳荘(標高約670m)が標準起点となる。釧網本線の清里町駅または知床斜里駅からはタクシーまたはレンタカー、女満別空港・釧路空港からはいずれもレンタカーで2時間前後を見ておくと安全だ。清岳荘までの林道は未舗装区間がやや長く、雨後はぬかるみが厳しくなることもある。清岳荘は素泊まり中心の山小屋兼登山口として運営されており、前夜泊して未明に出発するのが定型の登り方になる。

東側の三井(さんせい)コースは廃道扱いとされており、現在の斜里岳登山は事実上、清岳荘発の周回ルートに集約されている。日帰り可能な山だが、林道アクセスと沢登りの所要時間を考えると、登山口での前泊が最も無理のない計画になる。

沢を行く旧道、尾根を下る新道

斜里岳ルートの面白さは、清岳荘から始まる「旧道」と「新道」の2本がはっきり性格を分けているところにある。旧道は登山道がそのまま一の沢の沢筋を遡っていく構成で、白糸の滝・羽衣の滝・万丈の滝などの連続する滝を巻き道と直登で抜けていく。登山靴のまま渡渉する箇所が10か所以上あり、増水時には沢そのものが登山道として機能しなくなる。

新道は熊見峠を経由する尾根ルートで、滝の連続を避けて樹林帯と笹原を通って馬の背に出る構成。下りで使うと膝への負担が大きいが、雨天や増水時は新道往復が現実的な選択になる。多くの登山者は「登り旧道・下り新道」の周回を選ぶ。コースタイムは周回で登り約3時間半、下り約2時間半、合計6時間前後を見込んでおく。距離は短いが沢の通過と渡渉で時間を取られるため、行動時間に余裕を持ちたい。

渡渉前提の斜里岳の装備と服装

斜里岳の装備で他の百名山と差が出るのは、靴と足回りが濡れる前提で計画するという一点だ。旧道では渡渉箇所が連続し、増水時でなくともくるぶし上まで水に浸かる場面がある。防水のトレッキングシューズでも侵入を完全には防げないため、速乾性のソックスと替えのソックスを携行する。沢靴で歩くベテランもいるが、新道下り区間で歩きにくくなるため、一般登山者はトレッキングシューズと割り切るのが現実的だ。

斜里岳の服装は化繊長袖・フリース中間着・防水透湿のレインウェアの基本セットに、夏でも標高1,500m台の風を遮るウィンドシェルがあると安心。馬の背から山頂までの稜線は遮るものがなく、強風時の体感気温は10℃を下回る。登山中に水場の利用は限定的だが、沢沿いの旧道では水補給は容易な部類の山に入る。ヒグマの目撃情報は知床側に比べれば少ないが、新道の樹林帯では熊鈴の携行が推奨される。

斜里岳の時期、雪解けと紅葉

斜里岳の登山時期は6月下旬から10月上旬まで。6月初旬までは沢に雪渓が残り、滑落と雪渓崩落のリスクが高い。最盛期は7月から8月で、滝の水量が安定し、馬の背周辺の高山植物(チングルマ、エゾノツガザクラ、エゾカンゾウ)が花期を迎える。9月下旬から10月初旬の紅葉は、ダケカンバの黄葉とハイマツのコントラストが斜面を染める時期で、地元写真家の間では知床より斜里岳の方が色のメリハリが強いとも言われる。

10月後半に入ると初冠雪、11月以降は実質的に冬山となる。台風や前線通過後は沢の増水と林道閉鎖の双方が起こり得るため、出発前夜に清里町や斜里町の防災情報を確認しておきたい。

清岳荘は素泊まり制で寝具・食事は持参が原則。清里町中心部から登山口までは約25kmあり、コンビニ・食料調達は事前に町で済ませる必要がある。登山後の温泉は清里温泉「緑清荘」が登山口に最も近い。

馬の背、山頂、そして見渡す東北海道

旧道を詰め切って馬の背に到達すると、それまで沢の中で限定されていた視界が一気に広がる。北側に知床連山が連なり、その先端に羅臼岳がはっきりと見え、東側には国後島が薄く水平線に浮かぶ。山頂まではここからわずか30分、最後の岩稜は両手を使う場面もあるが難所と呼ぶほどではない。山頂は狭い岩塊で、晴れていれば北は羅臼岳、西は阿寒岳、はるか遠くに大雪山系の旭岳までを同時に望める。

斜里岳に登り終えて清岳荘に戻ってくると、ふたつのことに気づく。ひとつは、沢を登るという行為そのものが日本百名山の中でかなり例外的だということ。もうひとつは、車で網走方面に降りていく途中、振り返ったときの斜里岳の姿が、登る前とは全く違う重さを持って見えてくることだ。次に東北海道の山を歩くなら、火山地形の対比として雌阿寒岳、あるいは縦走の延長として知床の羅臼岳が自然な選択肢になる。

斜里岳の天気予報(3日間)

天気予報を読み込み中…

斜里岳のコミュニティ

コミュニティを読み込み中…

斜里岳に関連する山

斜里岳の近くの山

羅臼岳 1,661m

羅臼岳

らうすだけ・47km

北海道の他の山

旭岳 2,291m

旭岳

あさひだけ

トムラウシ山 2,141m

トムラウシ山

とむらうしやま

十勝岳 2,077m

十勝岳

とかちだけ

斜里岳に関連する記事

YAMATOMO

斜里岳の登山仲間と出会う

YAMATOMO は、山ごとに常設のベースキャンプを持つ登山コミュニティアプリ。斜里岳に登る予定の人・登った人と、天気・コンディション・ルートをリアルタイムで共有できます。

App Store でダウンロード マップで斜里岳を見る → ベースキャンプに参加する →