鳥取県

大山

山陰の海岸線にそびえる中国地方最高峰。「伯耆富士」と呼ばれる円錐の独立峰は、見る角度によって富士山にも、長大な岩稜帯にも変わる。

中国地方最高峰、伯耆富士

大山は標高1,729m、鳥取県大山町にそびえる成層火山だ。大山隠岐国立公園の核心部に位置し、中国地方の最高峰として知られる。日本海側から眺めると山頂部が左右対称の円錐形を成すため、「伯耆富士(ほうきふじ)」の愛称で古くから親しまれてきた。深田久弥は『日本百名山』で大山を取り上げ、西日本の代表的な山岳として位置づけた。最高点は剣ヶ峰(1,729m)だが、現在は崩落の進行により立入禁止となっており、一般登山者の到達できる最高点は弥山(みせん、1,709m)になる。

大山の特徴は、見る角度によって全く異なる表情を見せる点にある。西側の米子市街から眺める大山は均整の取れた円錐形の独立峰だが、南側から眺めると山頂部が長大な岩稜帯となって露出し、まったく別の山に見える。この東西の対比は、大山の山体が長い年月の崩落で南側が削られ続けた地質史を反映している。現在も剣ヶ峰周辺では崩落が進行しており、立入規制の境界線は年により変動する。

夏山登山道、弥山までの整備された道

大山ルートで最も標準的なのが、夏山登山道(なつやまとざんどう)だ。大山寺地区(標高780m)の南光河原駐車場を起点に、阿弥陀堂・五合目・六合目避難小屋・八合目を経て弥山山頂に至る。標高差約930m、コースタイムで往復5〜6時間の一日コース。一合目から十合目までブナ林・草原・岩稜帯と植生が変化し、西日本の山では稀な「3,000m峰並みの植生帯」を一山で経験できる貴重なルートになる。

九合目から先は木道が整備され、特別天然記念物のダイセンキャラボクの群落を保護する形で登山道が組まれている。弥山山頂は広い台地で、東に剣ヶ峰方面の岩稜(立入禁止)、北に日本海と弓ヶ浜半島、西に米子市街と大山町、南に蒜山高原と中国山地という、中国地方の中心に立つ独立峰ならではの広大な眺望が広がる。弥山から剣ヶ峰までの稜線は、地質学的には連続しているが現在は通行禁止で、剣ヶ峰の山頂を踏むことは認められていない。

剣ヶ峰の崩落、立入禁止の山頂

大山の最高点・剣ヶ峰(1,729m)は、現在は立入禁止の山頂となっている。弥山から剣ヶ峰までの稜線(縦走路)は、戦後から1980年代までは一般登山者も歩いた古典ルートだったが、稜線の南面の崩落が進行し、痩せ尾根の幅が極端に狭くなったため、1990年代以降に立入規制が敷かれた。地元の鳥取県と環境省は、稜線の安定性を回復させる目的で立入禁止を継続しており、当面の解除の見通しは立っていない。

弥山山頂から見る剣ヶ峰の岩稜は、現代の登山者にとっては「視覚的に存在しているが踏めない」山頂として、独特の位置を占める。大山に登るという行為は、現在到達可能な最高点である弥山を踏むことを意味する。なお冬季(11月〜4月)は雪山登山として登られているが、剣ヶ峰への稜線は冬季も立入禁止のままだ。

大山寺、千年続く山岳信仰

大山の登山口に立つ大山寺は、奈良時代に遡る古刹で、中国地方の山岳信仰の中心として千年以上の歴史を持つ。718年(養老2年)に金蓮上人が開いたとされる天台宗の寺院で、平安時代から鎌倉時代にかけて全国に大山信仰が広がる起点となった。大山寺の本堂・阿弥陀堂・大神山神社奥宮は重要文化財や国宝に指定されており、現在も大山信仰の中心地として参拝者を集めている。

登山者にとっても、大山寺の参道を歩いて南光河原駐車場に至り、そこから登山道に取り付くという流れは、大山の登拝の文脈に自然に組み込まれている。下山後に大山寺・大神山神社奥宮を参拝してから帰路につくのが、大山登山の伝統的なリズムだ。山と寺院と神社が一つの場所で組み合わさる構造は、富士山の浅間神社や立山の雄山神社と同じ系譜にある。

通年登山の山、季節と装備

大山の時期は通年。5月の新緑、7〜8月の夏山シーズン、10月後半の紅葉、12月から3月の雪山と、季節ごとに異なる表情を見せる。冬季の大山は西日本でも有数の雪山登山フィールドとして知られ、地元登山者の雪山訓練場として利用される。冬季はアイゼン・ピッケル・冬装備が必須で、無雪期とは完全に別物の山行になる。夏季は標高1,700m台でも気温が25℃を超える日があり、熱中症対策が必要。

大山の服装と装備は、1,700m級の長時間行動を前提に組む。フリースと防風防水のレインウェアは省けず、シューズはミッドカット以上の登山靴。ザックは日帰りなら20Lで十分。山頂直下の岩稜帯ではヘルメットの携行が推奨され、夏でも山頂は風が強い日が多いため、薄手のウィンドシェルを携行したい。冬季登山では軽アイゼン・厳冬期用シェル・予備の防寒着が必須。剣ヶ峰方面への立入は厳禁で、稜線分岐を越えないよう特に注意する。

弥山山頂から見るご来光は、東に剣ヶ峰の岩稜と中国山地、北に日本海と弓ヶ浜半島、西に米子市街、南に蒜山高原という、中国地方の中心に立つ独立峰の構図になる。大山寺周辺の宿泊施設に前泊して未明に登り始めれば、山頂で朝を迎える計画も組める。新月期の夏の夜は、山陰の暗さと標高1,700mの稜線が組み合わさり、中国地方でも有数の星空の場所として知られる。

米子駅、大山寺 — 山陰へのアクセス

大山のアクセスは、JR山陰本線米子駅から日本交通バス・大山線で大山寺まで約50分。マイカーの場合は大山寺地区の南光河原駐車場まで車で入れる。米子市内からはマイカーで約30分。山陰本線の特急やくも・スーパーまつかぜが大山アクセスの公共交通の中核で、岡山から米子まで特急で約2時間。

首都圏からは飛行機で米子空港まで約75分、または岡山経由でJR特急やくもを使う約4時間半。関西圏からはJR特急で約3時間。中国地方の最高峰として、登山と山陰観光(境港・松江・出雲大社)を組み合わせやすい立地が大山の人気を支えている。下山後は皆生温泉、関金温泉、湯原温泉などの山陰の名湯で汗を流す。大山に登るという行為は、中国地方の最高峰を踏むことであり、千年続いた大山信仰の道を歩くことであり、日本海と中国山地を一度に見渡す独立峰の頂に立つことでもある。

大山の天気予報(3日間)

天気予報を読み込み中…

大山のコミュニティ

コミュニティを読み込み中…

大山に関連する山

大山の近くの山

1,202m

蒜山

ひるぜん・16km

1,143m

船通山

せんつうざん・39km

1,271m

道後山

どうごやま・51km

鳥取県の他の山

1,310m

扇ノ山

おうぎのせん

大山に関連する記事

YAMATOMO

大山の登山仲間と出会う

YAMATOMO は、山ごとに常設のベースキャンプを持つ登山コミュニティアプリ。大山に登る予定の人・登った人と、天気・コンディション・ルートをリアルタイムで共有できます。

App Store でダウンロード マップで大山を見る → ベースキャンプに参加する →